おかげさまで、我が家は台風9号の被害もなく、夜に突風の音に目が覚めてしまう程度でありがたかった
友人から、飼い猫の容体がよくないと電話があった
20歳の老猫でおばあさんだ 人間だと90歳くらい
5〜6年前から糖尿病を患い、友人は高価な餌と血糖値を測ってインシュリンを打つ毎日を送りながら、可愛がっていた
年老いてから、認知症も患いあっちこっちにおしっこをしたり、一晩中鳴いたり、さっき食べたのにご飯を食べたいと請求してくるので手がかかって仕方ない、どこにも行けないとぼやきつつも、それでも可愛がっていた
その猫ちゃんがいよいよ危ないらしい
ご飯を全く食べない
水も飲まないようで、この暑さで心配で友人は病院に行って点滴をしてもらっているらしいが、もう内臓が弱っていてダメだろうと医者に言われたそうだ
それでも諦めきれず、点滴をすると少しは元気になるので、点滴してもらっているが、いつまでこれを続けるのか、この子は辛いんじゃないか、わたしの思いだけで延命治療をしているようで苦しいと
今までいた人が、ある日いなくなる
存在していた痕跡を見ると胸が苦しい
まだ生きていて欲しい
お別れが辛いし、覚悟ができないと友人は涙ぐんでいた
今まで一緒に暮らしていた家族がいなくなると、大きな虚無感が襲う
それはすぐにじゃなくて、じわじわと日常に染み入るようにいつまでも存在する
わたしも、夫が亡くなって7年になるが、いまだに虚無感が抜けない
何かひとつ厚い空気層がわたしと他人を隔てているような
お腹の底から笑ったり、感動したりすることが難しくなった
でもこれはただ歳をとったせいかもしれないけど
だからといって、不幸なわけでもない
穏やかに幸せである
こんなやつや
こんな奴もいるしね
友人に少し休んだ方がいいよとアドバイスした
少しでも旦那さんに代わってもらった方がいい
そして、誰かとお喋りしたり、気分が乗らないかもしれないけど違うことをした方がいいよと伝えた
1人きりで死と向き合っているのはしんどい作業だ
トビちゃんはたくさん友人に愛を注いだと思う
そばにいてくれて、きっと嬉しいと思う